ヴァンダレイ・シウバが引退を表明
「これまで、ファイターとして、素晴らしく、貴重な経験をすることが出来た。はじめは、無名の選手だった。しかし、デビューして、数か月が経つと、ファンは、自分の戦いに声援をくれる様になっていた。この事は、未だに、忘れることが出来ない思い出だし、この貴重な体験が、自分を、ファイターの道へと推し進めてくれた。それから、自分は、ファイターとして生きていき、20年のキャリアで、49試合のプロの試合をこなすことになった。この20年のキャリアを通して、ファンは、自分がどの様なファイターなのかを認識してくれるようになったし、自分は、ヴァンダレイ・シウバにしか出来ないファイトを、見せ続けてきた。ただ、そのファイトスタイルには、犠牲が伴い、この20年間は、自分にとって、数々の怪我との戦いでもあった。中には、完治しなかったものもあり、自分は、この怪我と、一生、付き合っていかなければならない。もし、あなたが、ファイターならば、膝やお尻、拳などに、怪我は付き物だとということに、理解を示して貰えるだろう。自分は、今、全ての箇所に怪我を抱えている状態だ。残念な事に、それらの怪我の状態は、日々、悪くなっていくばかりで、それは、ひとえに、我々は、試合の日だけ、体を酷使するわけではなく、日々、トレーニングで、体を、酷使している事が原因だからだ。特に、自分は、4か月、ハードなトレーニングをして、試合に望んでいる。そのトレーニングキャンプでは、ただ、ウェイトトレーニングや、ランニングだけをしているわけではない。週、3回スパーリングを行い、頭部へのパンチなどを含めたフルコンタクトを、毎日の様に行っている。このスポーツでは、多くの事が求められる。
5月31日に、ブラジルで戦う予定だったが、残念ながら、戦う事が出来ないと、UFCには伝えた。彼らは、自分の決断に不満を持ち、出場へのプレッシャーをかけてきたが、全ては、終わったことだ。1週間後、彼らは、連絡を寄越し、我々と会談を持ちたいと連絡してきた。彼らは、欠場は許されない、試合に、出場しなければいけないと、大金と共に、再び、試合をオファーしてきた。その時の、自分の思いというのは、そんな大金をオファーする事が出来るのであれば、なぜ、最初から、そうしなかったのか? 彼らは、大金を持っているのに、ファイターに、十分なファイトマネーを払おうとはしない。自分は、彼らに、ファンの皆に、自分の戦いを見せることが出来ない以上、試合に出場する事は出来ない。だから、この大金を、受け取ることが出来ない、と言った。ただ、彼らは、そんな自分の判断に納得出来なかった様で、さらなる会談を設定し、出場するように、プレッシャーをかけ続けてきた。だから、自分は、彼らに、年末まで、戦うことは出来ないだろうと言うと、彼らは、とても、ビックリした顔で、年末にしか、戦えないのかと、聞き返してきた。自分は、7月の大会にも、試合に出場できるコンディションではなかった為、戦うことは出来ない状況だった。トレーニングすら、ままならない状態だった。もし、そんな状況で、試合に出場し、糞なパフォーマンスをしてしまった暁には、自分が、クビにされるだけだ。ファイターが、試合に出場することに、どれだけ、困難が伴うのかについて、理解が少ない。例えば、ヘナン・バラオの件についてだ。彼が、6か月の間に、3試合をこなす事の意味について、考えた事があるだろうか? 6か月間に、3度もの減量をこなさなければいけないのは、想像を絶する事だ。バラオには、常に、トレーニングをする必要があったから、この6か月間、休む暇なんてなかった。だから、彼にとっては、毎日が、戦いだった。その結果、彼は、ベルトを失い、即座に、リマッチを戦う羽目になった。結果、彼の体は悲鳴を上げ、減量中に、卒倒してしまった。そんな時、UFCが、一体、何をしたのかというと、バラオを、痛烈に、批判しただけだ。彼らは、バラオに、ファイトマネーを支払わないことを、さも、誇らしげに語っていた。これが、UFCのやり方なのか? 彼らは、バラオが、どれだけの犠牲を払って、この試合に、臨んでいたことを知らないというのか? そのうえ、彼らは、バラオの事を、ガキだとメディアの前で、語り始めるではないか。この所業に、ファイター達が、怒ったのは言うまでもない。自分も、腹が立った。UFCのこういった行為によって、自分は、徐々に、戦う事への情熱を失っていってしまった。こんな団体の下で、戦いたいとは思わない。この団体では、ファイターが、十分なリスペクトを得ているとは思えない。プロモーターというものは、何があっても、ファイターに、同じように接していく必要がある。それは、言わば、最低限の約束だ。もし、団体が、ファイターに対して、ファイターが貰うべきだけのお金を払う気がないのであれば、少なくとも、ファイターに対するリスペクトを持つべきだ。UFCは、年間、50大会を開催したいから、ビッグネームは、年間、何試合も、強制的に、戦う事を要求されている。そして、彼らは、どんな状況でも、戦う事を要求するから、このUFCのやり方で、ファイターの体は、徐々に、破壊されていっている。しかし、もし、彼らが、オファーを拒否すれば、彼らは、ファイターを、まるで、価値のないもののように扱う。だから、ファイターは、例え、怪我をしていても、戦わなければならないし、減量も、通常よりも、早いペースで行わなければならない。いったい誰が、将来、ファイターの面倒を見ていくと言うんだ。UFCは、引退後も、我々の面倒を見てくれるというのか? だから、彼らは、ファイター達を、ぞんざいな扱いをするのか? 彼らは、ファイター達を、大金を稼ぐ道具としてしか見ていない。UFCは、ファイター達をぞんざいに扱うばかりか、ちゃんとしたお金を支払う気もない。彼らが、ファイター達を、このように扱うなんて、とても、恥ずかしいことだし、自分は、もう限界だ。自分は、これから、UFCを注意深く観察し、真実だけをしゃべっていくつもりだ。UFCは、ファイターの事なんて、どうでもいいと思っている。だから、彼らは、メディアやファンを使い、我々を、攻撃するという手に出る。ファイターにとって、ファンは、唯一無二の存在であり、我々を成長させてくれる存在だ。しかし、そんな唯一無二の存在であるファンまでも敵に回された時、我々に残っているものは、一体、何なんだろう。引退か、それとも、メディアと喧嘩する事なのか? ファンを敵に回され、一体、自分たちは、どうやって、生きていけばいいのか?
今日喋ったすべての事は、自分にとって、とても大事な事だ。そして、今日は、自分にとって、とても悲しい日となった。残念ながら、UFCは、自分から、戦いたいというモチベーションを奪ってしまった。自分は、UFCから、このような扱いを受けながら、戦い続けるという事は、出来ない。とても残念だが、ここに、引退を表明したい。今後、ヴァンダレイ・シウバの戦う姿を見ることはないだろう。自分の格闘人生は終わった。なぜなら、このように、ファイターがリスペクトを得ることが難しい団体で、戦う事は、出来ないからだ。このような扱いに、自分は、もう、限界を感じている。UFCは、20年来の自分のファンを、自分に対して、敵対させた。今の総合格闘技が確立させる前、自分は、グローブなしで戦っていたことがある。自分は、そういった時代に、必死に、総合格闘技をメインストリームに押し上げようと頑張ってきた。今日、皆が知っている総合格闘技の確立に、自分は、汗と血を流しながら、貢献してきた。ところが、UFCは、そんな自分に対し、あーだ、こーだと、言ってくる。だけど、彼らの言っていることは、すべて、間違いだ。そして、自分は、その間違いを正したいがために、こうやって、皆に、真実を話している。
我々、ファイターが、体を犠牲にして、イベントを作り上げている。少なくとも、彼らは、我々に、リスペクトを示してくれてもいいはずだ。ヴァンダレイ・シウバは、UFCに対して、反旗を翻すつもりだ。このような事をするのは、とても悲しいことだが、ファイターには、自分のように、声を大にして、真実を伝えることが出来る存在が必要だ。UFCは、決して、自分を止めることなどできない。
世界中のファンには、感謝の気持ちでいっぱいだ。皆の声援のおかげで、これまでやってこれた。ファンの皆は、自分にとって、唯一無二の最高の存在だ。たくさんの怪我を経験したし、たくさんの努力もしてきた。そして、最後には、たくさんの恥辱も受けてしまった。とてもタフな格闘技人生だったと思う。もし、ファンのサポートがなければ、ここまで、戦い続けることは出来なかっただろう。UFCは、自分から、モチベーションと支え(ファン)を奪い去ってしまった。だからこそ、今日、引退を発表することにした。ファンの為に、戦い続けた20年間だったが、あのような事が、最後に起きてしまい、ただただ、苦しいだけだ。だからこそ、自分は、戦い続けることを止めた。戦うのは、もうたくさんだ。
どんなことがあっても、常に、自分の事を支えてくれた友人たちに、感謝したい。君たちと、一緒だった結果、素晴らしい人生になった。お金では決して買うことが出来ない、何事にも耐え難い経験を、皆と、一緒に、体験することが出来た。そんな友人の存在は、自分にとって、一生の宝だ。だから、これからも、ファイター達をサポートしていってくれ。君たちの支えだけが、引退後も、唯一、残っていく。それ以外は、全て、幻想だ。だから、これからも、ファイター達をサポートしていってくれ。ファイターにとって、君たちの支えは大きかった。
心より、どうもありがとう。」
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